いっそこのまま溺れたい

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「骸…それじゃあ…」 「ええ」 「また来るから…それに…」 「はい…それに?」 「いつか必ず迎えに行くから」 「綱吉くん…」 「お前は無理とか思ってるだろうけど必ず行く!」 ああそんな強い瞳で…言うあなたが好き。 「ありがとうございます」 気持ちだけで十分ですよ。 「それまで待ってて…骸」 「わかりました」 ゆっくりゆっくり彼が消える。 一気に孤独感と寒さが襲う。 ちゃぷん 水牢で虚しく響く水音だけが聞こえる。 一つだけ あなたに嘘つきました。 わかりましたと… あなたを待ってると でもね 「無理ですよ綱吉くん…」 この現実からは 抜け出せない ここは甘くはないのだから… 「会いたいですよ…直にね」 出れないことくらい知ってる。 でもだから直に触れることができたらなら…と思う。 「ああ…幸せの後ほど…残酷なものはないですね」 これ以上依存したら 今の幸せでは僕は満足できなくなる 愛してます、綱吉くん されど いつか消える幻想(せかい)なら このままいっそ 溺れさせて? END
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