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~プロローグ②~
初めの出会いはあっけらかんととしてた。
黒猫だという理由だけで忌み嫌われ
なじられ、罵倒され、時には暴力さえも。
ようやく飼い手が見つかったと思ったらたまたまの不幸続きを僕のせいにされ。
おまけに同種の猫にまで嫌われたら。
この世界はくだらない…生きててもしょうがない。
そう思って何日も食べずにダンボールの中いた。
もうすぐだと思ったのに…
ハニー色の髪に白い肌のこれまた平凡な男が近寄ってきた。
おそらく興味本位だと思ったのに。
手を出してきた。
煩わしくて引っ掻いたのにへこたれることなく話しかけてくる。
ムカつく。
抱き寄せられるから暴れてやるのに離さない。
だんまり決めてたのに、たまらず喋ってしまった。
「離せっ!」
すると、拍子抜けな顔して喋れたんだとかぬかしやがる。
なんなんだコイツは。
今までにないタイプで戸惑う。"騙されるな"
心で呟く。
偽善者のくせに
こう言えば離れる。
そう思ったのに。
「俺は見捨てない」
なんてことを
初めて言われたから。
さらに
死にたいと言った僕に…
「死んだら悲しい」
なんて言うから。
それを言う目は嘘なんかじゃなく真剣で…
嫌でも本気だってわかって。
心が揺れる。
「俺が寂しいから一緒に来て?」
僕のプライドを刺激しないように。
強さと弱さを醸し出した君に。
初めて感じる温かさ。
へぼそうで弱っちい感じなのに屈託のない笑顔に…
何かわからないけど惹かれてしまいそう。
ムカつくから家に着くまで暴れまくってやった。
嫌気がさせば逃げてやろうとたくらみながら。
この先まさかああなるなんて思わなかった…
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