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深夜の倉庫街に、稲妻の様な轟音が響き渡る。
聞き慣れない者には分からないが、これは稲妻ではなく銃声……しかも拳銃の様なチャチな代物ではなく、マシンガン等の機関銃が連続で弾丸を吐き出す音だった。
しかし、その轟音は一向に止む気配が無い。試し撃ちにしては、銃本体が熱を持って壊れてしまうのではないかという連続斉射だった。
それもその筈……機関銃を撃っている者にとって『試し』撃ちではなく、紛れも無い『実戦』撃ちだったからだ。
※※※
「しっかり狙えッ!」
黒服の男は銃声の轟音に負けない様に怒号を発したけど、それは全く意味の無い命令だった。
彼の部下はそんな命令を受ける随分前から、しっかり狙って撃っている。当たらないのは対象の人間がそれ以上に素早く動き回っているからだ。
「当たれ当たれ当たれッ!」
「クソッ! 何て動きだッ!!」
弾を撃ち尽くしたマシンガンのマガジンを外し、新たなマガジンを装填する僅かな間に……そいつはやってきた。
「ギャ!」
「ゲァ!?」
「ガハッ!」
今の一瞬で三人もやられた。
彼等の間に戦慄が走る。
いつから自分達はホラー映画やSF映画の脇役になったのだろう?
こっちはマシンガン等で武装している。相手は丸腰だ。ナイフ一本持っていない。なのに何故、相手を仕留められない? 何故こちらの仲間が次々とやられていく!?
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