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「私はあんたに救われた。だから私もあんたを守る! 例え何人殺す事になってもね!!」
感情を隠そうともしない真っ直ぐな言葉。
これ程真っ直ぐな殺意があるなんて、生まれて初めて知った。
ある意味、アリスはマリアに似ている。嘘やごまかしの無い、純粋で真っ直ぐな感情を俺に向けてくるところなんてそっくりだ。
だからこそ、今のアリスは危険だと思う。今の言葉が嘘やハッタリではないと分かる。
「……正当防衛とか、そんな理屈はどうでもいい」
一歩、アリスに近付く。
「俺はアリスに人を殺して欲しくないだけだ」
また一歩アリスに近付く。
近付くだけで俺の気持ちが伝わる訳はない。だけど、近付かずにはいられない。
「俺は、アリスには……普通に生きて貰いたいんだ」
「普通? 普通って何!?」
人形みたいに整っているアリスの顔が、人間みたいに歪んでいく。
「同い年の友達を作って、仲良く手を繋いで笑い合うって!?」
アリスが何かに堪えるみたいに目を細める。
「そんなの無理に決まってるでしょ! 私の生まれを知っているでしょう!?」
「アリスがどう思っていようが……」
また一歩近付く。もう互いの息がかかりそうな距離だ。
「そうなって欲しいと俺は思ってる」
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