第八話 人間の屑

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アリスの笑い声が聞こえる。 「アリス」 『何?』 「気を付けろよ」 『……誰に言ってんのよ!』 不敵なアリスの返事に少しだけ安心した。 一度会っただけだから正確には分からないけど、少なくても佐々木に元フェンリル見習いのアリスを脅かせるとは思えない。逆に、アリスが佐々木に必要以上の危害を加えないかの方が心配だ。 『じゃ、行くわよ』 そう宣言してからアリスは歩き出したのが音で分かった。 イヤホンを耳に当てながら黙って見守る……聞守る。 注文してあったコーラを一口飲む。大して危険な任務とも思えないけど、嫌に緊張してしまう。 ケータイで時間を確認する。 午後3時を少し過ぎた所だった。 イヤホンからアリスの声と別の若い女の声が聞こえている。どうやら、受付嬢と話しているみたいだ。 事前にアポイントは取っていたので、すぐに部屋に通されたみたいだ。 「アリス。返事が出来たらしてくれ。無理なら咳ばらいをしてくれ」 『……今は大丈夫。部屋には私しかいない』 アリスから返事がきた。 「中の様子はどんな感じだ?」 『特に変わった感じは無いわね。どっから見ても普通の事務所って感じ』 「今何階だ?」 『一階。受付でアポを確認されて、受付の隣の部屋に通された』
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