第一話 その男、強烈につき

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神威神成。 俺の名前には、『神』って字がふたつも入っている。だからなのかも知れないな……神様って奴に嫌われちまっているんだよなぁ。 ※※※ 母ちゃんに頼まれた豆大福を買い、俺は自宅に向かって歩いていただけだ。別に何も悪い事はしていない。 十個買ってきた中で、すでに二個程俺の胃袋に入っているのは……まぁ、お駄賃代わりだ。そんなに極悪非道って訳じゃない筈だ。 ……まぁ、母ちゃんの豆大福好きから考えたら、親不孝者にでもなるのか? いや、それでも……こんな状況に巻き込まれる程の罰を受けなきゃならないのか!? ※※※ 辺りには絶え間無く銃声が響いている。俺が身を潜めている物陰にも、たまに跳弾が来てしまう。 「おっとと……」 跳弾に当たって怪我でもしたらつまらないので、慌てて避ける。 家に帰る近道の為に、廃工場を突っ切ろうとしたのが裏目に出てしまった。 そこでは今まさに、ドラマの様な銃撃戦の真っ最中だった。 「どっちが勝ってもいいから、早めに終わらせてくれよー」 打ち捨てられたドラム缶に隠れながら、ため息をつく。 近くに落ちていた割れた鏡を拾い、ドラム缶の陰から顔を出さずに状況を確認する。 一方はどう見てもヤクザ……しかも幹部クラスの集団だな。
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