第一話 その男、強烈につき

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ドスの効いた顔に高そうなスーツを着ている。持ってる拳銃もトカレフなんかのコピー品じゃなくて、正規品のベレッタやグロックだ。チンピラが持つには高級過ぎる。 もう一方の方は……こっちは正体不明だな。 全身黒ずくめで、マスクやゴーグルで顔を隠している。アーミーベストやケブラーヘルメットを装着して、M4マシンガンで武装しているところを見ると、もしかしたらどこかの軍隊の連中かも知れない。動きを見る限り、コスプレって訳でもなさそうだし。 ヤクザ対軍隊なんてまるで映画の撮影みたいだけど、響く銃声が互いの銃が本物である事を示しているし、映画撮影にしてはカメラがどこにも無い。 「やれやれ……泣けてくるぜ」 日本の治安悪化もここまで来たかと呆れていると、やがて銃声が止んで突然辺りが静けさに包まれた。 再び鏡で辺りを確認すると、ヤクザ連中は残らず地面に転がっていた。 あらら……皆殺しか? そう思いながらよく見てみると、倒れている連中の誰一人、血の一滴も流れていなかった。 不思議に思って周りを確認すると、軍隊が持つM4マシンガンを撃ったにしては、壁や地面に弾痕が少な過ぎる気がした。 ……ゴム弾でも撃ってたみたいだな。 そう結論着けている間、地面に転がされていた連中は手錠を掛けられていった。
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