第一話 その男、強烈につき

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ケータイで時間を確認すると、あと少しで見たいテレビ番組が始まる時間だった。 やべぇ……母ちゃんレコーダーに録っててくれるかな。 家電マスターの母ちゃんにとって録画なんて簡単だろうけど、そこまで俺に気を使うとは思えない。 早く帰れぇー! 心の中で念じているとその願いが通じたのか、正体不明の軍隊は撤収の準備を始めた。 ドラム缶の陰で軍隊の撤収を見ていると、突然俺のケータイがメールを着信して鳴り出した。 「ヤベッ」 慌ててケータイを操作して音を止めたけど、連中の何人かが辺りを警戒し始めた。 「何か聞こえたな」 「ケータイの着信音みたいだったけど……」 日本語? 連中の会話が聞こえてきたけど、はっきりとした日本語を話していた。てっきり国籍不明の軍隊と思っていたから少し驚いたけど、日本人と断定するにはまだ早かった。 「あいつらのケータイでも鳴ったのか?」 「多分そうだろうな。気にする程の事でもないだろう」 連中がそう会話をしながら、再び警戒を緩めようとした。 俺も安心してため息をつこうとしたけど、 「いや……音はあのドラム缶の陰から聞こえてきたな」 連中の一人がそう言って、M4の銃口を俺の隠れているドラム缶に向けた。
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