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ケータイで時間を確認すると、あと少しで見たいテレビ番組が始まる時間だった。
やべぇ……母ちゃんレコーダーに録っててくれるかな。
家電マスターの母ちゃんにとって録画なんて簡単だろうけど、そこまで俺に気を使うとは思えない。
早く帰れぇー!
心の中で念じているとその願いが通じたのか、正体不明の軍隊は撤収の準備を始めた。
ドラム缶の陰で軍隊の撤収を見ていると、突然俺のケータイがメールを着信して鳴り出した。
「ヤベッ」
慌ててケータイを操作して音を止めたけど、連中の何人かが辺りを警戒し始めた。
「何か聞こえたな」
「ケータイの着信音みたいだったけど……」
日本語?
連中の会話が聞こえてきたけど、はっきりとした日本語を話していた。てっきり国籍不明の軍隊と思っていたから少し驚いたけど、日本人と断定するにはまだ早かった。
「あいつらのケータイでも鳴ったのか?」
「多分そうだろうな。気にする程の事でもないだろう」
連中がそう会話をしながら、再び警戒を緩めようとした。
俺も安心してため息をつこうとしたけど、
「いや……音はあのドラム缶の陰から聞こえてきたな」
連中の一人がそう言って、M4の銃口を俺の隠れているドラム缶に向けた。
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