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マスクとゴーグルで顔は見えないけど、声で若い女だと分かる。
「小早川隊長」
「油断するな。伏兵の可能性もある」
ねぇよッ!
思わずツッコミを入れたくなったけど、ややこしい事になりそうだったから我慢した。
他の奴に小早川隊長と言われた女は、M4を構えたままゆっくりとした足取りで俺が隠れているドラム缶に近付いてくる。他の二人も左右から囲む形で近付く。
さて、どうするかな。
連中が近付いてくる僅かな間に、幾つかの作戦を考えた。
「……ちょっと待った」
ドラム缶に隠れたまま声を出す。
一斉に連中がM4を構え直す気配がした。
「大人しく出てこい」
女が威圧的に命令をしてきた。
「誤解があるみたいだけど、俺はただの通行人Aだ。そこに転がってるオジサン達とは無関係だぞ」
喋り続けながら、足元に落ちていた石を拾う。丁度手の平に隠れる大きさだ。
「成る程。だが、我々もそうですかと信じる訳にはいかない! 手を上げて、大人しくそこから出て来なさい」
少し態度が軟化してきたかな?
そんな事を思っていたけど、両脇の二人は依然として接近してきているのが気配で分かった。
「出てって、いきなりバキュンは困るぜぇ」
「大人しく出てくれば撃つ事はしない」
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