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俺は、涙を腕で拭いて、立ち上がった。公衆便所に置かれた春子を、もう一度見たら、とめどなく涙が溢れてきた。
「春子…ごめんな…あいつを見つけて、必ず戻ってくるから…愛してるから…少しだけ…待っててくれ…。春子…春…子…。」
そして振り返らずに走った。流れる涙をもう一度腕で強く拭いた。今は泣いてられない。もう泣けない。今は泣かない。あいつを見つけるまでは…見つけて…そしてもう一度…春子に会うまでは…。
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