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「だって頭上げてくれなかったじゃないですかぁ! 助けてもらって頭を下げられるなんて嫌なんです!」
「だからってそんなことをこの状況で言うのはやめろよ。
俺はしねえが、恥ずかしそうにそんなこと言ったら、また襲われてもおかしくねえぞ」
「ふぇ?」
ジクスに言われた女の子は唇に人差し指を当てながら周囲を見回した。
自分の周囲にはジクス以外に誰もおらず、人が来る可能性は0と言ってもいい場所。
それを理解した女の子は青ざめ、カタカタと震え始めた。
「あ、あなたまで私を襲うんですか?」
「いやいや、俺はしねえがっつっただろ。つーか、足元に気をつけろよ」
「へ? キャッ!?」
ジクスから後退りするように離れていく女の子に言った途端、女の子がローブの裾を踏んでバランスを崩し、倒れていく。
女の子は目をギュッと閉じて倒れていったが、不意にふわりと体が浮いたような感覚になった。
不思議に思った女の子が目を開けると、ジクスの顔が目に入った。
「だから言っただろうが。男が着てたローブなんだからブカブカなんだ、足元に注意しねえと今みたいに裾踏んでこけるぞ。
あと、信用しろって言っても無理だろうが、俺はおまえを襲ったりはしねえよ」
ジクスはそう言うと女の子を降ろし、少しだけ離れて女の子を見つめた。
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