最強の彼

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 先程は助けることで頭がいっぱいだったため、容姿を確認することはできなかった。  しかし落ち着いて見てみると、女の子は可愛いの部類に入るだろうとジクスは思った。  女の子の髪は背中の真ん中辺りまで伸びた少し癖のある水色で、目は少し垂れていて大きな緑、顔立ちは少々幼さが残っている。  また、今はブカブカなローブを着ているため体格はわからないが、ジクスはローブを着る前に細くて華奢な体を見ていた。 (……何で顔は見てねえのに体は見てんだよ、俺の馬鹿野郎!)  ジクスは表情を変えずに軽い自己嫌悪に陥っており、女の子は自分を見たまま動かないジクスに戸惑っている。  ジクスは何も言わず、女の子もビクビクして話しかけようとしないため、そのまま時間が過ぎていった。  ジクスが変態と自分を罵っていると、男達が逃げていった道から話し声が聞こえた。  その声は徐々に大きくなっていき、それを聞いたジクスは我に返ると移動して通路側から女の子が見えないように立つ。  女の子はそんなジクスから少し離れた場所でオロオロしていたが、何を思ったのか急に後ろからジクスに抱き着いた。 「ちょっ!? いきなり何だ!?」 「…………」  ジクスが驚いて言うが、女の子は何も答えない。
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