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女の子はジクスの背中に顔を埋めてカタカタと震えており、それは当然ジクスにも伝わっていた。
(まあ、ここで襲われたんだし……聞こえるのが男の声ばっかりだとこうなってもしょうがないか)
ジクスはそう考えながら、スッと腰に回された女の子の手に自分の左手を重ね、通路に視線を向けた。
2人がそんなやり取りをしている間にも声は大きくなっており、ジクスは右手に先程の銃を持って警戒する。
それから1分もしないうちに、2人がいる空き地に灰色のローブを纏った男が5人入って来た。
その後ろには先程逃げていった3人のうちの1人がいて、ジクスを指差して口を開いた。
「あいつです! あいつがここで少女を襲っていたんです!」
男がそう言うが先に入って来た男達はピクリとも動かず、ジクスはため息を吐いてアビスを消した。
「ヤクト、おまえならどういうことか理解できるよな?」
「……はい、申し訳ありません。我々の責任です」
ヤクトと呼ばれた先頭にいる男は黒い髪を揺らして深々と頭を下げ、その横にいる4人の男達も同じように頭を下げる。
それを見た男は目を見開いて驚き、その表情のままジクスを見た。
「じゃあヤクト、俺は今からこの女の子を連れていくから、処分はおまえに任せる。いいな?」
「はい、お任せください!」
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