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「お、着替えたか。似合ってるじゃないか」
「そうですか? そんなに似合ってるとは思いませんけど……」
「そうか? 俺は似合ってると思うけどな。……先端も隠せたし」
ジクスは女の子の服装を見て言うと、最後に小さな声で呟いた。
そう呟いたときのジクスの視線は女の子の胸に向けられていたが、女の子は気付いていないようだ。
「あの、このローブはどうしたら……」
「ん、ちょっと待ってくれ」
女の子が片手で持って引きずるローブを指差して言うと、ジクスは右手の人差し指にはめてある黒い指輪に魔力を流した。
すると指輪のある位置から指先までを真っ黒な何かが包み、ジクスはその指を自分の右側で上から下に一直線に下ろす。
女の子がそれを見て首を傾げていると、急にジクスの指が通った場所が両端の尖った楕円のような形に開いた。
「ここに入れとく。投げ込んでくれ」
「あっ、はい」
それを見て固まっている女の子にジクスが言うと、女の子はローブを丸めて投げ込んだ。
割れた空間の内側は黒っぽい色をしていて、空間はローブが入った直後に閉じた。
「えっと……今のは?」
「この指輪の……つーか、魔物の力だ。これは魔身具だからな」
「ましんぐ?」
女の子は聞き慣れない言葉に首を傾げた。
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