最強の彼

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「魔身具を知らないのか?」 「はい!」  ジクスの言葉に、女の子はニコッと笑って元気いっぱいの返事をする。  そんな女の子に説明しようとしたジクスだが、ふと店にある時計を見た女の子が慌てだしたのでやめた。 「どうした?」 「今日は友達と買い物する予定できたんですが、待ち合わせの時間を過ぎてるんです! ううっ、どうしよう……」 「場所は?」 「トラストっていう喫茶店ですぅ……」  女の子がしょんぼりして言うと、ジクスはクスッと笑って口を開いた。 「なあ、そこに1分以内に連れていってやろうか?」 「そんなの無理ですよぅ……ここからだと10分はかかります」 「大丈夫だって。ほら、行くぞ!」 「えっ? あ、ちょっと、ひゃああぁぁぁ!?」  ジクスは女の子の手を引いて店の外に出ると、再び空間を割いてそこに飛び込んだ。  飛び込む際に女の子が一際大きな叫び声を上げたが、裂け目が閉じると聞こえなくなった。 「はい、到着!」 「ふみゅ!?」  ログハウスの前にある、トラストと書かれている看板の前の空間が裂け、そこからジクスと女の子が飛び出した。  飛び出した直後にジクスは止まったが、手を引かれていた女の子は止まれずにジクスの背中に顔を埋めている。
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