最強の彼

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「今日は本当にありがとうございました。あの、できれば何かお礼をしたいんですけど……」 「いいって、全部俺がしたくてしたことだしな」 「でっ、でもぉ……」  メリカの言葉にジクスが答えると、メリカは納得できずに小さな声で言う。  そんなメリカを見たジクスは立ち上がり、メリカの頭をポンポンと軽く叩いた。 「そんなに気にすんな。俺は何か見返りを期待して助けたわけじゃねえしな。 それに今回はギルドの不祥事だから、俺がお礼をしてもらうわけにはいかねえよ」 「むぅ~。あっ、じゃあせめて名前教えてください!」  ジクスにそう言われても納得できずに唸るメリカだったが、パッと笑顔になると元気よくお願いした。  そんなやり取りをする2人をマスターは笑顔で、サーシャとサラはジクスとは初対面なせいか少々困ったような苦笑いを浮かべて見ている。 「あれ、言ってなかったっけ? 俺の名前はジクスだ」 「ジクスさんですね! 私はメリカっていいます!」  メリカはそう言うと手を差し出してきたので、ジクスはその手を握って握手をする。  するとメリカは嬉しそうにニコッと笑い、ジクスもそれにつられるように微笑みを浮かべた。 「メリカは心が強いな」 「へ?」  ジクスが手を離して言うと、メリカはわけがわからないといった様子で首を傾げた。
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