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周囲はその少女の行動に驚いて固まり、トコトコと歩く少女を目で追っている。
そんな視線を気にせずに、少女は膝まである灰色の髪を揺らしてジクスに近づいていく。
少女はジクスの目の前まで来ると、パッチリとまではいかないが、大きめの水色の目でジクスを見上げた。
ジクスは自分の胸辺りにあるその顔を見つめ、ジクスが微笑むと少女はニコッと笑った。
その笑顔はすぐに消えて少女は無表情になり、ジクスの背後に回る。
そして、生徒の視線が注がれる中、少女はジクスの背中に飛び付くと腕は首に、足は腰に回してピッタリとくっついた。
「じゃあ自己紹介を」
「ちょっと待っておくれ。レミアを席に座らせてからにしてくれんかのう?」
「……や」
ジクスの言葉を遮って学園長が言うと、レミアと呼ばれた少女が小さな声で拒否して抱き着く力を強くした。
レミアの腕はジクスの首を絞めているように見えるが、ジクスは苦しそうな様子を見せずに平然としている。
「レミア、我が儘を言ってはいけません。自分の席に座りなさい」
そんなレミアにティーナが言うと、レミアはプクッと頬を膨らませてジクスの背中から降り、再び無表情になると自分の席に戻った。
生徒は終始レミアを目で追っており、学園長が手を叩くとビクッと反応して前を向いた。
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