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カルトスと呼ばれた生徒は、両手で額を隠して叫ぶように言い返すが、ジクスは再びチョークを投げる。
今回は額を狙わずに顎を狙い、カルトスの顎には額と同じ跡がついた。
「まだ何か言うことはあるか?」
自分の身分や有名な者と知り合いだと言っても攻撃されると思っていなかったのか、カルトスはジクスの問いに答えずに顎を手で押さえて呆然としている。
呆然としているのはカルトスだけではなく、教室内の生徒はレミアを除いた全員が同じ状態だ。
「自己紹介の中断はしたくねえんだがな……」
ジクスがボソッと言うと、生徒達は全員話を聞く体勢に戻る。
それを見たジクスは再び口を開いた。
「俺は、カルトスが原因で辞めたこのクラスの担任の代わりだ。
ギルドランクはKで、魔族のドラゴン。
ちなみにそいつが言った【ドラグーン】は俺だが、俺はそんな奴とは知り合いじゃない」
ジクスの暴露にクラスの生徒は硬直した。
【ドラグーン】とは、ドラゴンが関係している依頼しか請けず、請けた任務を必ず処理していたギルド隊員に付けられた異名。
1種類の種族の依頼しか請けない隊員は珍しくなく、本来なら異名が付くようなことではない。
しかし、【ドラグーン】はドラゴンを討伐するのではなく、従わせて人里から離れた場所へと移動させて依頼を処理するため、異名が付けられたのだ。
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