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そんな異名を付けられた本人が目の前にいるのだから、生徒の反応は当然のことだと言える。
「うっ、嘘をつくな!!」
その状況で、カルトスが急に叫んだ。
「魔族が、人間の道具である存在が【ドラグーン】なはずがっ!?」
「少し……黙ろうか。さすがにそれを言われたらふざけられねえ」
叫ぶカルトスの目の前に一瞬でジクスが移動し、カルトスの額にチョークを押し付けて低い声で言った。
その動きを完全に目で追えたのはティーナしかおらず、学園長でさえほとんど見えていない。
「まだティーナの自己紹介が終わってねえんだ、黙って座ってろ」
ジクスがそう言って軽く額を押すと、カルトスは何の抵抗もせずに椅子に座った。
すると、ジクスは再び一瞬でティーナの隣に移動した。
今回は全く見えない速度で動いたことが原因なのか、生徒達は異名をばらしたときほどは驚いていない。
というか、異名をばらしてからずっと呆然としたままで、驚くという感覚が麻痺しているようだ。
生徒はティーナが自己紹介をしようとして1歩前に出ると反応し、再び話を聞く体勢になった。
「私はティーナ、今日からこのクラスの副担任になります。
ギルドランクはSで、種族はジクスと同じです。よろしくお願いします」
ティーナがそう言って頭を下げると、レミアが小さな手で拍手をし始めた。
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