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「……魔族のドラゴンが介入して、タストールの王を脅して終わらせた戦争」
「そりゃ通称じゃなくて内容だ。【竜侵戦争】だろうが、ちゃんと覚えとけ」
カルトスはもう言い返す気力もなく、頷いて答えた。
ジクスが続きを話そうと口を開く前に、サーシャが手を高く挙げたのでそちらを向く。
「先生は戦争に来てたの?」
「ああ、来てたぞ。たしか、俺が1438歳の頃だ」
「わ~、もう歳が桁違いだね」
サーシャはジクスの言葉に苦笑いしかできず、他の生徒は躊躇わずに質問できるメリカ達に困惑のような感情を抱いている。
生徒はサーシャに目を向けていたが、ジクスが続きを話し始めると前を向いた。
「この戦争は無理矢理終わらせたため、俺達は再び戦争が起きたときに防衛するために人としてオルトに住むことにした。
監視のために向こうの国にいるドラゴンもいる。
ま、戦争について話すことはこれくらいだろ」
ジクスはそう言うと真剣な表情をやめ、生徒も集中を途切れさせる。
「先生、この国は昔王政だったらしいけど、なんで今はギルドが管理してるの?」
「……竜王が国王に言ったんだ。いや、脅したって言った方が正しいな。理由まで言った方がいいか?」
「……ううん、別にいいや!」
サーシャが質問すると、ジクスは表情を曇らせて返す。
誰が見ても何かあったとわかる表情に教室内の空気は一瞬重くなるが、サーシャの言葉にジクスが笑みを浮かべたことですぐにその雰囲気は消えた。
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