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ジクスは正座したままのレイフォードの質問にそう答えて扉を開き、部屋から出ていった。
「さて、じゃあ僕は自分の仕事をしようかな」
「ああ、言い忘れたけどティーナにはおまえから言っといてくれ」
レイフォードが呟くように言った直後、ジクスが扉を少しだけ開いて顔だけ覗かせて言い、返答も聞かずに扉を閉めた。
(……僕に死ねと?)
レイフォードは閉められた扉を見ながらそんなことを考え、重い足取りで部屋から出ていった。
それから少し時間が経ち、現在ジクスはギルドを出て、賑わう街を1人で歩いていた。
(俺が教師ねぇ……)
そんなことを考えながら、ジクスはキョロキョロと辺りを見回す。
(変だな……警護課の隊員がいねえ)
警護課というのはジクスがいるギルドにある、トラブルが発生すればそれを解決のが仕事の課である。
その課に所属しているものは一般人なら纏っていない灰色のローブを纏っていて、町の治安維持のために街中のあちこちに立っているので見回せば見つかるはずなのだ。
それが見つからないことを不審に思ったジクスはため息を吐き、周囲の魔力を探り始めた。
(ん? まさかな……一応急ぐか)
ジクスはすぐに隊員のローブが放つ独特な魔力を感じ取り、賑わっている街とは隔離されたかのように静かな細道を見た直後、音も無くその場から消えた。
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