最強の彼、学園へ

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 説明しながらジクスはキョロキョロと周囲を見回し、入口とは反対側の窓を開けた。  窓の外には広大なグラウンドがあり、そこに誰もいないのを確認してからジクスはその真ん中に水球を飛ばす。  水球はグラウンドに落ちた直後に大きな破裂音を響かせて弾け、そこを中心にグラウンドの半分近くを飛び散った水が濡らした。 「魔力をある程度流した水球だとああなる。でも、どれだけ魔力を流しても、同量の魔力を流した同じ属性の魔法には敵わない」  窓を閉めて言うと、ジクスは教卓の前まで戻った。  他の教室で授業をしていた教師が破裂音を聞いて窓から顔を出しているが、顔を出す前に窓を閉めたジクスには気付いていない。 (……やり過ぎたかも)  廊下を教師が走るような音を聞いたジクスは内心焦っているが、それを表情には出さずに説明を続けた。 「魔身具は大まかに分けると攻撃、防御、補助の3種類で、今見せたのは攻撃と補助の2つだ。 見たいなら防御のも見せるけど、どうする? とりあえず見たい奴は挙手」  ジクスが言い終わるのとほぼ同時に、生徒の大半が手を挙げた。  それを見たジクスは再び空間を割いて手を突っ込み、魔身具を探す。  裂け目から引き抜かれたジクスの手を見ると、指の間に少々大きめで黄色い半透明のヘアピンが挟まれていた。
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