最強の彼、学園へ

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「あ、一番前の奴は机ごと少し後ろに下がってくれ。もう少し……そんくらいでいい、ありがとな」  ジクスに言われて生徒は教卓から1メートルほどの位置まで離れ、ジクスは教卓を自分の横に動かす。  そして手に持っているヘアピンに魔力を流すと、ヘアピンから雷が放出されてジクスの目の前で壁になった。 「誰か魔法で攻撃してみるか? 下級魔法か、使えるなら中級でもいいぞ」  ジクスは雷を放出し続けるピンを指の間でクルクル回しながら言うが、生徒は互いの顔を見合わせたりするだけで何もしようとしない。  そんな中、サラが控えめに手を挙げて口を開いた。 「先生、私達まだ下級もまともに使えないんです……」 「マジか……じゃあ今日の午後は魔鋼造って、模擬戦の時間潰して魔法の練習するからな」  小さな声で言うサラの言葉に、ジクスは驚いてから頭をガリガリと掻いてそう告げる。  何故驚いたかというと、下級はただ魔力を練って魔法名を言うだけで発動する簡単なもので、2年の生徒が使えないというのが意外だったからだ。 「下級がまだってことは、中級の詠唱なんか知らねえよな?」 「はい、知りません……」 「そうだよな……まさかとは思うが、カルトスが原因とかじゃねえよな?」
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