最強の彼、学園へ

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 ジクスが自分の手の届かない存在だという認識を改められないのか、サラは小さな声で答える。  それを聞いたジクスがチョークを手に持ってカルトスに目を向けると、カルトスは必死に首を横に振り始めた。 「違う! いくら我が儘な僕でも魔法の練習まで潰したりはしない!」 「あ、自覚はあったんだな。自覚があるのに我が儘なことを言い続けて、担任に迷惑かけた罰としてドーン」 「キョッ!?」  わざわざチョークを投げる理由を述べ、ジクスはカルトスの額に新しいチョークの跡を増やした。  カルトスの立ち位置が、我が儘なお坊ちゃんからジクスの的に変わるのは時間の問題かもしれない。 「とりあえず魔身具の説明はこんくらいだ。何か質問あるか?」  ジクスは生徒を見回しながら雷の壁を消し、教卓を元の位置に戻す。  壁が消えて生徒が元の位置に移動すると、メリカがサッと手を挙げて口を開いた。 「昨日のトラストまで移動したのってどういう仕組みですか?」 「ああ、あれか。あれはこの魔身具の力だ。これで割いた空間はこの世界のどことでも繋がってるから、内側から割けばどこにでも行けるんだよ。 まあ、内側からこっち側の魔力を感じ取ってそれを辿って割かねえと、雲の上とかに出る可能性もあるけどな」
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