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メリカの質問に、ジクスは右手の人差し指にはめている指輪が全員に見えるように手を挙げて答える。
だが、昨日のと言われてジクスとメリカ以外がわかるはずもなく、他の生徒は話に着いてこれていない。
「先生、昨日のって何? 私達にもわかるように説明して!」
「説明するより見せた方が早い。これのことだ」
話に着いていけないことが不満なのか、どこか不機嫌そうなサーシャが言うと、ジクスは空間を割いてその中に入った。
急にジクスが消えたことに驚いたサーシャは、メリカなら何か知ってると思って右隣りに座っているメリカの方を向く。
「ねえ、メリきゃわぁ!?」
メリカに質問しようとして発した声は奇声に変わり、サーシャは後ろ向きに座っている椅子ごと倒れそうになる。
ジクスがいなくなってキョロキョロしていた生徒はその声に驚いて固まり、サーシャは後ろ向きに倒れながらギュッと目をつぶった。
しかし、倒れる前に何かが背中からサーシャを支え、サーシャは恐る恐る目を開けた。
「すまん、こんなに驚くとは思わなかった」
サーシャの目に映ったのは片手で自分を支え、逆の手で申し訳なさそうに自分の頬を掻くジクスだった。
「だっていきなり目の前の空間が割けたんだもん! 驚かないわけないじゃん!」
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