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サーシャはそう言うと頬を膨らませてプイッと顔を反らす。
その仕種を見たクレイの息が荒くなり、悪寒がしたサーシャは表情を不安げなものに変え、ジクスの服をキュッと握った。
「萌え「死ね」ごひゃ!!??」
それを見たクレイが何かを叫ぼうとしたが、それが予想できていたシンの一撃を喰らって沈黙した。
シンが振り下ろした青い本の角が少々赤いのは、目の錯覚だと信じたい。
「サーシャ、手を離してくれねえと戻れねえんだが……」
椅子を元に戻しても手を離さないサーシャにジクスが言うと、サーシャはクレイを睨みながら手を離した。
まあ、クレイは机に突っ伏したまま動かないので睨んでも意味は無い。
「ああ、そうだ。今から言うことを肝に銘じとけ。特に男はな」
黒板の前まで移動したジクスが言うと、生徒はそちらを向いた。
ジクスは真剣な表情をしており、醸し出す雰囲気に生徒は全員気圧されてしまう。
教室内は水を打ったように静まり返り、ジクスは表情も雰囲気もそのままで口を開いた。
「自分の大切な人は何があっても守れ。それだけだ……簡単だろ?」
ジクスはそう言うと生徒を威圧するのを止め、安心したような表情の生徒に向けて再び口を開く。
「ま、守れっつってもパートナーと契約すりゃそいつが守ってくれるだろうがな。
でもパートナーだけじゃ限界がある。だから今言ったことは忘れんな」
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