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サラは目の前に立つジクスを見たまま固まっており、自分にジクスの手が近づいてきたのを見て、ギュッと目を閉じる。
「さすがにそんなに怖がられると傷つくぞ」
「えっ?」
ジクスはサラの頭を優しく撫で、サラはジクスの言葉に反応して目を開く。
すると、ジクスが苦笑しながら自分の頭を撫でているのが目に映った。
キョトンとしているサラの頭から手を離すと、ジクスはサラから少し離れた。
「ま、怖がられてるのは俺が原因だから、傷つくとか言える立場じゃねえけどな。んで、質問は?」
「えっと……中級魔法からはどうして詠唱が必要なんですか?」
ジクスの表情を見て罪悪感が湧いたサラだったが、質問の内容を言うように促されたので、それを述べる。
質問されたジクスは再び生徒の間を縫うように移動し、ティーナの隣に立って口を開いた。
「厳密に言えば、中級以上の魔法でも詠唱は必要ねえんだ。詠唱っつーのは魔力操作の補助をしてもらうための、契約の言葉みたいなやつなんだよ」
「契約? 誰と契約するんですか?」
先程の表情を見てなるべく怖がらないようにしているのか、サラは躊躇う様子を見せずに再び質問した。
それが嬉しかったのか、ジクスは小さく笑みを浮かべている。
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