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「あっ……はぁ」
ジクスはレミアを見つけると、足元で暴れるクレイを無視してため息を吐き、歩きだした。
その際クレイを蹴ってしまったが、喘ぐような声が聞こえたので無かったことにした。
ジクスが向かうのは1階から2階に上がる階段で、そこには長い灰色の髪を纏めて座っているレミアがいる。
纏めた髪は床で汚れないように腕に巻き付けていた。
「レミア、サボっちゃ駄目だろ」
「簡単過ぎる」
「それでもだ。ったく、そんなんだから友達できないんだぞ」
「いらない」
腕に巻き付けた髪をいじりながら答えるレミアに、ジクスは小さくため息を吐いて隣に座った。
座った直後にレミアはジクスの後ろに移動し、ジクスに覆いかぶさるように抱き着いた。
「女の子なら友達ほしい。でも私、あんまり話さない」
そして、ジクスの頭に顎を乗せてそう呟くように言った。
するとジクスは急に立ち上がり、レミアは教室で抱き着いたときのように腰に足を回す。
「じゃあメリカ達と友達になれ。俺も協力するから」
「……うん」
ジクスの背中に額を当てて、レミアは小さな声で答えた。
答えを聞く前にジクスは階段を降り始めていて、レミアは表情に変化は無いが、内心口数の少ない自分に友人ができるのか不安を感じていた。
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