最強の彼

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「だからさぁ、相手との力量の差くらいわかれよ。"アビス"」  ジクスは女の子を自分の後ろに立たせ、手に黒を基調とした白い5本の線が平行に刻まれた銃を出現させて、槍に1発の銀色の銃弾を撃ち込んだ。  銃弾を撃ち込まれた槍は形を崩して地面に落ち、それを見た男達と女の子の表情は驚愕以外には何も感じられないものになっている。 「なあ、さっさとローブ渡してくんねえかな? ああ、言っとくけどこれはお願いじゃないぞ。命令だ」  そう言いながらジクスは男達に銃を向けた。  どう見ても命令でもなく脅迫だが、女の子は固まってるし男達は震えてるしでそれを指摘する人はいない。 「な……んで……魔法が……崩れたの?」 「ん? ああ、簡単なことだ。魔力の薄い場所をピンポイントでぶち抜いて形を保てなくしたんだ。ほら、いつまでもビクビクしてねえでローブよこせっつってんだろ!」  何とか言葉を発することができた女の子が途切れ途切れに質問すると、ジクスはそう答えて男達の足元を撃ち抜いた。  男達はそれを合図にするかのようにローブを脱ぎ捨て、ジクスが走ってきた道へと我先にと逃げ出した。  女の子はジクスの言葉に理解できないことがあったのか、体を破かれた服で隠したまま首を傾げている。 「ほら、とりあえずこれでも着てろ。そんな布切れで隠すよりはいいだろ」
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