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優しく言うティーナに、ジクスは自嘲するような笑みを消して微笑みで答える。
それを見たティーナはジクスの頬から手を離し、2人は再び歩きだした。
「ティーナ、魔鋼用の鉱石の準備とかしてるか?」
「当然です。そのために途中で教室から出たんです」
「そっか、ありがとな」
「いえ……あっ」
ジクスの感謝の言葉に短く答えた後、ティーナが何かを思い出して小さく声を漏らした。
そんな声を漏らされて気にならないはずがなく、ジクスはティーナに目を向けた。
「どうした?」
「鉱石を準備しているときに、学園長と話したことを思い出したんです。この学園は教師も寝泊まりする場所があるのは知ってますよね?」
「ああ、そういやじいちゃんが言ってたな。それがどうかしたのか?」
ジクスが言うとティーナは少々頬を赤くし、少しの間を置いてから口を開いた。
「それが……レイが私達の関係まで言っていたらしく、私とジクスは同じ部屋らしいです」
「ふーん……ちょっとレイを殴ってくる」
背中から銀色のドラゴンの翼を出現させたジクスが近くの窓を開けて言うと、ティーナがジクスの上着の裾をちょこんと摘んで止めた。
「わっ、私はジクスと同じ部屋で嬉しいです!」
「そっか。ま、俺も嬉しいけどさ。とりあえず飯食いに行くか」
俯いて言うティーナにそう返し、翼を消して歩きだしたジクスだったが、その顔は少し赤くなっていた。
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