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「うぐはぁ!」
吐き気と嫌な思想(前ページ参照)に目がバッチリと覚める。
そして気づく
ココハドコ、俺ハ涼介
見知らぬ天井
少し埃臭かったが、自分の家ではなかった。
「…寒くない」
いつもなら、すきま風に奮えていたが、全くそれがなかった。
涼介は体を起こすと、分厚い布団から這い出る。
「…火鉢!暖かいや」
布団の横に少し火のついた火鉢があった。
涼介は冷えた手を当て、顔を緩ませる。
「……昨日、誰かが助けてくれたのかな」
曖昧な記憶
蜘蛛に襲われ、助けられた
そして……
「ゆ、夢…だよな?」
男同士での接吻
さすがに信じたくない事実
「夢じゃないよ」
か細い声が聞こえた
「?!」
驚いて、辺りを見回すと小さく開けられた襖から男の子の顔が見えた。
「お客様…お目覚めですか?」
「……誰?」
「この屋敷の主の下部だよ」
10cm程しか襖を開けず、話す姿は、少し怖く
雰囲気に、涼介は覚えがあった。
「……君、人じゃない」
そう、言ってしまった
いつもそうだ。
人に化けた妖怪に、つい…涼介は話しかけてしまう
そして……
「正解ダヨ」
襖が一気に開かれた
男の子の背には鮮やかな蝶の羽根が広がる
「……!」
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