ドッペルゲンガー 第Ⅰ章

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狭間七臣(はざま ななおみ)、16歳。 彼は景気回復に最も貢献したであろう企業の御曹司である。 しかし、彼は気取ったところも無く、人望が厚く明るい人柄で、誰からも好かれている。 そんな七臣だが、大企業の一人っ子ということもあって、次期社長の座を狙う父親の弟に幾度となく暗殺されかけていた。 しかし、周りの守りが強かった所為か、当の本人は叔父がそんなことを目論んで居た事を知る由も無かったが…。 叔父の名は狭間彰吾(はざま しょうご)。 弱冠35歳にして常務取締役という重役に就いていた。 彼は非常に腹黒い男で、跡取りである一人息子の七臣を手にかけ、将来的にはこの会社を掌握して日本の頂点に立つという野望を抱いている。 彼は今日も次なる暗殺計画を企てていた。 座り心地の良さそうな上質な椅子にに深く腰を落とし、暗殺者(アサシン)リストを眺めながら、煙管に煙を燻らせる。 白い煙を肺いっぱいに吸い込み、ゆっくりと吐き出し、独りごちる。 「大体腕の良い奴は依頼済みだし…それも全て失敗に終わっている…今度こそは…」 彰吾は深い溜息を吐(つ)いた。デスクに10cm程ある報告書を置き、椅子に深くもたれてデスクに足を乗せた。
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