第Ⅱ章

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そこは20畳ほどの部屋。 真っ白な壁に囲まれている。 白いカーテンが風になびいている。 白で埋め尽されたこの部屋には、天蓋付きベッドとシンプルなデスクしかない。 お姫様ベッドの様な天蓋付カーテンの奥に、少女が枕にもたれ体を起こしていた。 静かな部屋に紙ずれの音―。 本を読んでいるようである。 透き通るように白い肌に赫い唇―・・・ まるで眠り姫の様に美しい少女だ。 少女はゆっくりと書物に目を通していた。 コンコン―… 「七海、今大丈夫かしら?」 「義姉さん・・・うん、大丈夫」 七海と呼ばれた少女は分厚い書物 に栞を挟み、パタンと小さな音 を立てて閉じた。 そして天蓋のカーテンを開けた。そろそろとベッドから起き上がろうとしている。 しかし、義姉はそれを制した。 「貴女にお客様よ、其の儘で善いそうだから。仕事の話よ。狭間七臣16歳―・・・少年を暗殺して欲しいそうよ。 はい、これ資料。今お呼びするわね。」 義姉は七海に依頼人から渡された書類を手渡した。 「はぁ?依頼?しかも子供の?もしかして私なめられてる?」 七海は少し詰まらなそうに云った。そう云わないの、と静かに義姉が制した。 がちゃりとドアノブが音を立ててドアが開いた。其の人物はコツコツと足音を鳴らし近づいてきた。
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