1人が本棚に入れています
本棚に追加
そこは20畳ほどの部屋。
真っ白な壁に囲まれている。
白いカーテンが風になびいている。
白で埋め尽されたこの部屋には、天蓋付きベッドとシンプルなデスクしかない。
お姫様ベッドの様な天蓋付カーテンの奥に、少女が枕にもたれ体を起こしていた。
静かな部屋に紙ずれの音―。
本を読んでいるようである。
透き通るように白い肌に赫い唇―・・・
まるで眠り姫の様に美しい少女だ。
少女はゆっくりと書物に目を通していた。
コンコン―…
「七海、今大丈夫かしら?」
「義姉さん・・・うん、大丈夫」
七海と呼ばれた少女は分厚い書物
に栞を挟み、パタンと小さな音
を立てて閉じた。
そして天蓋のカーテンを開けた。そろそろとベッドから起き上がろうとしている。
しかし、義姉はそれを制した。
「貴女にお客様よ、其の儘で善いそうだから。仕事の話よ。狭間七臣16歳―・・・少年を暗殺して欲しいそうよ。
はい、これ資料。今お呼びするわね。」
義姉は七海に依頼人から渡された書類を手渡した。
「はぁ?依頼?しかも子供の?もしかして私なめられてる?」
七海は少し詰まらなそうに云った。そう云わないの、と静かに義姉が制した。
がちゃりとドアノブが音を立ててドアが開いた。其の人物はコツコツと足音を鳴らし近づいてきた。
最初のコメントを投稿しよう!