第Ⅱ章

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そして七海の居る天蓋付きベッドの近くに来て、義姉に差し出された椅子に座った。 そして七海を見るや否や叫んだ。 「思った通り・・・瓜二つだ!!流石双子!!」 少女は其の声の人物を睨んだ。 それは紛れも無く、今回七臣暗殺を依頼した彰吾自身であった。 今時珍しいくらい艶やかな長い黒髪の少女である。 透き通る様な白い肌に赫い唇、整った顔立ち―… 少し七臣より女らしくはあるが、その容貌は殆ど変わる処が無かった。 暗殺の依頼人はニヤニヤと妖しい微笑みを湛えた。 七海は突然不機嫌そうに叫んだ。 「ちょっ・・・何よ!?双子って!!オッサン!アンタが依頼人なワケ!?」 「クククッ・・・そうだよ…そして君と今回のターゲットの繋がりを知る者。君たちは双子だ、実ね。」 そしてまた嗤う。 七海は彰吾のこの態度が堪らなく癇に障った。凄い形相で依頼人を睨みつける。 しかし、その声は落ち着いていて、静かな怒りを湛えていた。 「オジサン、私ね、孤児なの。私の姉妹は義姉だけ。それにねっ、私、要人の暗殺しか請け負ってないのよ!!依頼拒否よ、帰って頂戴。」 依頼人は多少その迫力にたじろいだがすぐに体勢を立て直した。 くすっと笑って、 「先程お渡しした資料があるでしょう?悪いとは思ったんですが、探偵に色々調べさせました。 貴女に取っても悪い話では無いと思うんですが、まぁ、いいでしょう。気が変わったら連絡下さい。」 そして七海に背を向ける。 2,3歩歩いてふと振り返った。 「おっと、ご紹介が遅れました。私は狭間彰吾、以後お見知りおきを。ミス海原。では、失敬」 勝ち誇った顔をして、それだけ云うと彰吾は部屋を後にした。
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