バカにつける薬

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***  やれやれ、とんでもない患者に来院されたもんだ。あれでノーベル賞以外の権威ある医学賞を総なめにしようというのだから、世の中と言うのは、よく判らん。 「ノーベル賞、ねぇ……」  私は思わず、小さな声でぼやいてしまった。あのバカ、確か、帰り際、脳や神経がどうのこうのと言っていたな…… 「!!」  次の瞬間、妙な言葉が脳裏をよぎり、私は目を丸くして、息を飲んだ。  昔からよく囁かれている、有名な冗談。 『バカにつける薬を発明したら、確実にノーベル賞を受賞できる』  まさかあいつ、今度は「バカにつける薬」作って、ノーベル賞に挑むつもりじゃあるまいな!?  いや、まさか。  いやいや、あのバカだったら、やりかねんぞ?  変な予感に、寒気がする。  ひょっとして、あのバカから、悪い風邪でも感染されたのかも知れない。
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