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やれやれ、とんでもない患者に来院されたもんだ。あれでノーベル賞以外の権威ある医学賞を総なめにしようというのだから、世の中と言うのは、よく判らん。
「ノーベル賞、ねぇ……」
私は思わず、小さな声でぼやいてしまった。あのバカ、確か、帰り際、脳や神経がどうのこうのと言っていたな……
「!!」
次の瞬間、妙な言葉が脳裏をよぎり、私は目を丸くして、息を飲んだ。
昔からよく囁かれている、有名な冗談。
『バカにつける薬を発明したら、確実にノーベル賞を受賞できる』
まさかあいつ、今度は「バカにつける薬」作って、ノーベル賞に挑むつもりじゃあるまいな!?
いや、まさか。
いやいや、あのバカだったら、やりかねんぞ?
変な予感に、寒気がする。
ひょっとして、あのバカから、悪い風邪でも感染されたのかも知れない。
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