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しかし、と言ってゾラが頭痛薬に手を伸ばす。
「何故奴らはこんな侵略を続けるのだろう」
「効率的だからさ。星と共生するより、使い捨てて次の星を探す方が早い」
「野蛮な考え方だ」
「まったくだ。しかし奴らもはじめからそうだったわけじゃない。奴らが垂れ流している光速通信を傍受してわかったことなんだが、何世紀か前までは星との共生を試みたらしい」
「そうなのか?」
「ああ、まだ奴らが母星にいた頃だ。まあ、結局失敗して母星は駄目になり、現在のスタイルにチェンジしたようだが」
「下等だな。自分達の産まれた星を潰すなんて」
「ああ、なんと言う名前だったかな、奴らの産まれた星は、」
ゾラは答えず、頭痛薬のフタを開ける。
クリーム状の塗り薬だ。
ゾラは制帽を脱ぎ、頭痛薬を額から突き出た緑色の角に塗り始めた。
「思い出した。地球という名前だ」
パムが独り言のようにつぶやいた。
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