親切な悪魔

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これこれこういう理由で、と男は悪魔に説明する。 「お願いです。魂でもなんでも差し上げますから、助けてください」 「なるほど、あなたの困った状況はわかりました。しかし、悪魔と取り引きをするのはまだ早い」 「なんですって、魂と交換であれば願いを叶えてくれるのではないのですか」 「ええ。悪魔は基本呼び出されれば、呼び出したものの下僕となり、その願いを3つ叶え、交換に魂をいただきます。しかし悪魔に魂を渡すということは大変なことですよ。死後は逆に悪魔のしもべとしてずっと働かなければならないのです。それは生きている時間に比べ何倍も長いときです。あとから恨み事を言われても忍びない。よく考えたほうがいい」 「構いません。もはや生きていることが地獄なのです。かと言って死ぬ勇気もない。なんとか助けてください」 男の必死の願いに、悪魔はううむと唸る。
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