過剰サービス

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「なんだ、これは?」 カタログを受け取り、いぶかしみながらたずねた。 「いやいや、我々のサービスが押し付けにならないように、死に方をお客様に決めていただくサービスになります」 「なんだって?」 男は唖然としながらカタログをめくった。 「心臓発作、十五分って書いてあるが、これはなんだ?」 カタログのページを指差して男が死神に聞く。 「死に方と残りの寿命です。心臓発作であれば、苦しまないようにサービスしますし、意外に安らかに逝けますよ。他にオススメとしては事故、八時間というのも。どんな形であれ八時間後には事故で死にます。特別に即死にしてあげますから苦しみません」 「いやだいやだ。これは、難病、十年」 男は残りの寿命の長そうなものを選ぶ。 「あまりオススメできませんね、難病で苦しみ抜いての十年ですから、 」 その説明に男がげんなりする。 「あぁこれだ、老衰、四十年。ちゃんとこんなのがあるんじゃないか」 「はい。かわりに次々と不幸があなたを襲います。最終的には人生に絶望し、孤独に一人で。あんまりオススメはしませんねぇ」 死神が親切そうにアドバイスしてくれる。
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