15人が本棚に入れています
本棚に追加
夢境に蘇る惨憺な光景
朱に染まりゆく姿
悲しみのように降る雨の中で
空を見上げ流した涙
命奪い奪われてきた
嘆きだけを戦場に残して
両手に抱えられていた
かけがえのない結晶
いともなく砕けちり
目の前で消えてゆく
未来信じ手にした刀
けれど手に残るものはなく
苦しみの叫び天に届くことなく
握りしめた拳に伝う血
灰になった友たちの想いが
俺の胸をかきむしる
もう失いたくないのに
気づけばこの両手に
抱えられている小さくも
強く暖かい結晶
夢境に蘇る惨憺な光景
朱に染まりゆく姿
忘れることはないけれど
今は笑顔で生きていける
最初のコメントを投稿しよう!