プロローグ

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五大貴族の一貴族であるフェイステッド家。 そこでは今日、一つの大きな運命が始まろうとしていた…。 「……まだなのか」 夜空を月が照らす刻、フェイステッド家の屋敷のある部屋の前を、大層に立派な格好をした赤毛で赤い瞳のガタイのいい大男がうろつき呟く。 どうやら何かを待っているようだが、中々にそれは来ない模様。 更に、時間が経つにつれその男は段々苛々してきたのか次第に足音が大きくなり―― とうとう我慢の限界なのか、扉の前に立ち男は大きく息を吸い込み口を開いた。 「スゥ……まだ生まれんの[バアン!]フブゥ!?」 だが、その瞬間男は吹き飛ぶ。 「グレイ様!…あれ?グレイ様?どこですか!」 [ブギュルッ] 更に、倒れたままの男の無防備になった腹部に容赦なく襲い掛かってくるブーツ。 「ウボァッ!?」 「へっ?……ヒャア!グ、グレイ様ァ!」 …それはほんの数秒の出来事であった。 赤毛の大男、フェイステッド家の当主グレイ・フェイステッドが扉の前で叫んでいる途中に扉がいきなり開き、グレイの顔面に直撃しグレイは吹き飛ぶ様に仰向けに倒れたのだ。 そして扉を開けた張本人であるメイドがグレイを見つけられず、捜そうと足を運んだところ、グレイを踏み冥土へ送ったのである。 「だっ大丈夫ですか!?グレイ様!…って、すみませんでし「だ、大丈夫だ。それより生まれたのか!?」 「はっ、は「ルナぁ!」」 グレイを踏み砕いたメイドは顔を真っ青にして謝罪をしようとするが、グレイはそれを遮り、さらにメイドの返事を聞き終えるまえに部屋の中へと駆け出していた。 「ルナ!どうだっ!」 部屋に入ったグレイは、ベッドに寝ている朱色の髪の黄色い瞳を持った女性に転びそうになりながらも駆け寄り、声を荒げる。 すると、ルナと呼ばれた女性は、力を使い果たしたような表情をしながら笑い―― 「あなた。ふ・た・ご、双子よ」 と、嬉しそうに声を上げたのだった。 「双子だと!?どこだ!何処にいるのだ!?」 「…ふふっ」 それを聞いたグレイは急いで子供を見るために周りを見渡し始める。 そのグレイの焦った様子をルナは楽しそうに、そして優しげな瞳で見つめていた…。
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