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身長はあたしよりずっと高くて、たぶん180近くはあるんだと思う。体つきはあまりよくなくて、喧嘩が強そうには見えない。そして染めてない普通の黒髪。
声もそうだけど、全体的におっとりとした印象がする男だ…。
もちろん見覚えがない。
「俺のことはいいから、とにかく取りなよ」
「いやいや…無理でしょ」
ナンパされてるのか?いや、でも誘われてるわけじゃないし…どうなんだかね。
「ほら、始まっちゃった」
「え?あ!」
あたしが置いていた小銭を何の躊躇いもなく放り込んで、しかもボタンを押しやがった。このままではリボンが…じゃない、唯香のお金がもったいない。
「ったく…」
別にさっきみたいに無理矢理連れてこうだとかはしないだろうから、とりあえず目の前でスタートしたユーフォーキャッチャーに集中することにした。
無意識の内に男に言われた通り山場を崩しにかかってたけど、やっぱり目標は取れない。
「お、上手いね。次で取れそう」
「このぐらい普通じゃないの…」
あたしは初心者なんだから、上手いわけがないわけだしさ。
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