強がりと木刀

何も分からないままだけど

「やった！取れた！」

「おぉ！まさか、あれを取るとは！」

　あたしはついにリボンウサギを落とし、手に入れた！
　そして気付けば隣にいる…誰かとハイタッチをしていた。

「って、誰よ！」

　何であたしは凄まじくフレンドリーにこんな意味の分からない男とハイタッチなんかしなくちゃいけないのよ！

　しかもすっごいはしゃいでた！あたしは完全に馬鹿な子だ！

「俺は神取　一瀬(かんどり　いちせ)。よろしくね」

「よろしくするか！」

　神取一瀬…やっぱり聞いたこともないような名前だから、こいつはきっとさっきの男たちと同様、ナンパ目的なのだろう。

　それにしては偉くおっとりとした雰囲気をした男だな…。最近ではこんなタイプの不良まで存在するのか。

「ナンパとかだったら勘弁してよ…興味ないからさ」

「って、ぬいぐるみを抱きながら言ってもあんまり迫力ないけどね～」

「なっ！」

　悔しいけど確かに神取の言う通り、このリボンウサギを抱いたまま睨んだって誰も怖がるわけがない。ていうかひたすらに滑稽過ぎる。

　今日は調子が狂い過ぎだ…。