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「…にしても俺の存在に気付かないね、この子は」
「そうね。気付かないうちに消えた方が身のためよ。この子はあたしに近付く男は容赦なく半殺しにしちゃうから」
これに関しては嘘偽りはないと言えよう。もはやこの子はあたしにとっての用心棒と化しているのだ。
一人でいる時くらいしか喧嘩はあまりしなくなった。この子と一緒に喧嘩したらあたしまで怪我をしかねないから仕方ない。
「………鈴華先輩、そこに突っ立ってる優男は何ですか?」
あーぁ。見つかった。だからとっとと消えろって言ってやったのに…。人の忠告はしっかり聞きなさいな。
「あ、どうも、神取一瀬。藤崎さんのクラスメートです。以後お見知り置きを」
「え?あ、はい…。黒原唯香…です」
あたしも予想外な礼儀正しすぎる神取の態度に怒りだす寸前の唯香は思わずお辞儀をしていた。
神取はそれを見た後、握手を求めて、混乱してる唯香はしっかり握手をした。
…あたしはあんたがそんな真面目に挨拶をしているのを初めて見たよ。
「ていうか、あんた、クラスにいたっけ?」
「いたともさ。でなきゃ名前なんて知るわけないでしょうに」
じゃあさっきの「教えられてなかったっけ?」は何だったんだ。いや、こいつは考えなしに喋ってるに決まってる。
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