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暇潰しに学校にでも行こうと思っていたのに、何故かあたしは唯香に引っ張られてゲーセンまで来てしまっている。
騒がしいとことか人が集まるとこが嫌いなあたしとしてはこんな場所に一秒も居たくもないけれど、唯香があまりにも楽しそうだから、断りきれなかった…。
後輩のわがままを聞いて、結局折れてしまう不良というのは如何なものでしょうか。あたしは情けないと思う。あたしみたいに…。
「鈴華先輩!!あのぬいぐるみチョー可愛くないですか!?」
あたしがゲーセン特有の喧しいゲーム音に吐き気を催していると、唯香がユーフォーキャッチャーの前で無邪気にはしゃいでいた。
あたしの気も知らないで、まぁ、無邪気なこと。
「どれどれ…どいつのこと?」
隣に並んで中を見てみると、可愛らしいぬいぐるみの数々が所狭しと置かれていて、いったいどいつが唯香基準の可愛いなのか分からなかった。
………個人的には奥で頭にピンク色のリボンを付けているウサギのキャラが可愛い…。まぁ、強いて言うなら、なんだけどね。そんなに可愛いだなんて、思ってないんだから…。
「手前で木刀担いでるネコですよー。なんすか、あのふてぶてしいツラはー、しかも着物ってのがまたそそられます~」
「…へぇ、こんなふてこいのが、ね…」
わかんない。これは可愛いの?
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