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「残念ですね。ベルさんはお休みですから……」
どこに行っても、そういう話題ばかり。ぼくとベルが婚約者という事は、世界中の人が知っている。
ベルのお父さんはオズフォーン・メラード。父さんと同じく大手株式会社の社長。二人は幼なじみだそうだ。今もライバルのようで大親友らしい。
両方とも世界を支える企業となった。
とりあえずぼくはベルに会ってみたいと思う。
「ですが、不幸中の幸いですね」
何の脈絡もなく、校長が言った。
「何がですか?」
ぼくは聞き返した。
「君の席の隣はベルさんなのですよ」
校長先生がぼくを見てニッコリとした。
「本当に良かったですね」
一瞬、腹が立った。ぼくはその思いを押さえて何も言わずにいた。
はぁ……、いいよね……。ぼくと違って、普通に生まれて普通に育ったんだから。普通に暮らせて……。
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