第1章~再び、始まり~

3/46
前へ
/348ページ
次へ
ぼくはこの文章を読んで思わず吹き出した。二十五世紀の真っただ中に、こんな文章があるなんてさ……! けれど、今みたいに科学が発展している世界で、こんな夢みたいな事、ある訳がない。 馬鹿げてる。それにしてもおかしい。父さんがこのエンジェリンという本を買ったのかな? ドアをノックする音が聞こえた。おそらく、執事のゴンドー・セイラビだ。 ドアが開く。やっぱり、そうだ。ぼくはゴンドーに声をかけた。 「ゴンドー、何か用かい?」 「いえ、あのですね……、そろそろ学校の時間ですので、身仕度を……」 ゴンドーはいつもながら礼儀を忘れず、礼をしてきちっと言った。 「仕度が終わりましたらお呼び下さい。車はもうあります」 「わかったよ。なるべく早く行くから」 そう言うとゴンドーは最後に礼をして図書室から出て行った。そう、ここはぼくの部屋じゃない。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加