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「悪魔ぁ!!!!」
気がつくと私は包丁を両手で握って、“悪魔の女”に突進していた。
その間に割って入ってきた男がいた。
そんな事に反応できずに、私は標的の悪魔の女にではなく、優斗の腹部に刺してしまった。
「優斗…?」
生々しい感触…
ぽたぽたと地面に垂れる赤い血。
「紗香…ごめんな……」
私は震えながら優斗から包丁を抜いた。
「あぁ…優斗…ぁっ…わたし……」
悪魔の女は「優斗ぉ!!」とよろけた優斗に駆け寄って必死に傷口を押さえていた。
みるみる顔が青ざめて行く優斗。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
錯乱した私は血がべっとりとついた包丁を投げ捨て、ベランダに出ると、少し戸惑いながらも夜空にむかって飛んだ。
マンションの6階の高さから飛び、ほんの数秒間だけ空中を重力に引かれながら落ちていった。
そうだ…私は…死んだのだ…
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