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おれはいつものようにおどおどした感じで廊下を歩いていた。
「おい!チョコレートバー、買って来いよ!」
いつもの“あいつ”が毎日言う言葉が聞こえた。そして、前を見ると……“あいつ”がいた。
おれは驚いた振りをした。
「うぅ……っ!」
半泣きの状態。
「聞いてるのか!?早く買って来い!」
「わかっ、てるよぉ……」
おれは“あいつ”の方を度々、振り返りながらコンビニに向かった。内心、めんどくさいと思いつつも。まぁ、仕方ない。
今は化けの皮を剥がす訳には行かない。
剥がしてしまったらおれの努力が無駄になる。
これからやることの計画も狂う。台なしになることは絶対に避けたい。だから、今は“あいつ”の思い通りにさせないと。
そして、おれはじっと約束の時まで、耐えるしかないんだ。今は。
それももう少しで終わる――。
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