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奥州 高館
多くの桜の花弁が舞う中、戦が行われていた。
数多の矢が飛び交い、白と緑の軍服を着た兵士達を貫いていき、白刃がぶつかり合い、肉を斬り裂いく。
そして紅血が桜の花弁と共に草、または地面に流れ、目を見開いた生首が地面に転がる。
これを見た人々は口を揃えて『地獄絵図』というだろう。
そんな中、二人の男が背中合わせに戦っていた。
一人は真紅の大鎧を身に纏い、腰には真紅の鞘、頭には獅噛鍬形台の兜を被っており、更に右手には真紅の柄に白銀の刀身に、鍔元には何か銘が打たれた太刀を握っているスラリとした長身の男。
もう一人は白を基調とした法衣に白い鎧を纏い、頭には袈裟を被っている大男で、右手には普通の者では持ち上げる事すら出来ない程の薙刀を握っている。
そう、この男達はかつての軍神、『源義経』と、その義経に付き従った稀代の忠臣、
『武蔵坊弁慶』である。
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