ご対面です!

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白亜の城が目の前にある。 中央の噴水はキラキラと太陽の日差しを浴びて、七色の虹が掛かっていた。 城を囲う水路には、蓮の花が咲き乱れ、葉の隙間を縫う様に泳ぐ魚の姿が見られる。 「…此処、何て言うお城なんですか?」 現実逃避したい…。 ここが『自宅』だなんて、ぜっっったい!信じない! 笑顔で訊ねてみると、ウーラは「自宅」と当たり前の返事をした。 「お城じゃないですか!」 「…そうか?」 「猪鹿のお家より凄いんですけど!」 「ふーん…そうなのか」 絶句。 これ以上、色々と訊ねるのは止めておこう。 小町が下した決断にお構いなく、ウーラはズカズカと先を歩いて行った。 水遊びをする子供達が、珍しそうに小町を指差して何やら騒いでいる。 ウーラも理解出来ない言葉で、行き交う人達と挨拶をしながらにこやかな笑顔を向けていた。 …早く済ませたい…。 開けっ放しの大きな扉。 何処かの寺院ですか? ここはマハラジャのお城ですか? 真っ白な大理石の床。 見下ろすと、鏡の様に小町の姿を映す。 「あ?何だ小町、大理石がそんなに珍し……」 ヒョイと顔を寄せて、小町の視線を辿ったウーラ。 途端に挙動不審になって、小町から即座に離れた。 「…おっ…俺は何も見てないぞ!?何も見てない!水色のレースとか、…見てないからな!」 …つまり見た訳ですね。 スカートの中を…。 だが小町は緊張しているので、そんな事は重大ではなく、放心した笑顔で首を傾けた。 「ウーラさん、どうかなさったんですか?」 「…こ…小町?」 煌びやかな城内で、小町はロボットの如く、カクカクと規則正しく前進する。 心配そうな顔をしたウーラは、小町の肩を抱いて立ち止まった。 「大丈夫だ!緊張するなよ!」 「…ウーラさん………………………………………無理です!!」 だからぁ!ウーラさんは自宅だから良いんですよ!
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